保険の有効活用術

相続対策に活用できる保険 相続対策に活用できる保険

高橋成壽

profile

高橋成壽(たかはしなるひさ)

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。

FP王子の愛称で親しまれている新進気鋭のファイナンシャルプランナー。職種、業種、収入、性別を問わず相談を受けており、クライアント年齢も20代から90代まで老若男女から頼りにされる存在。100年安心して暮らせるプラン作りをモットーに、相談、執筆、講演を行っている。
1978年生まれ、神奈川県藤沢市出身。慶應義塾大学総合政策学部卒。NPO法人日本FP協会認定CFP®
近著・監修「もしもデューク東郷が終活ノートを作ったら(実業之日本社)」、「ダンナの遺産を子どもに相続させないで(廣済堂出版)」

相続で生命保険が活躍する?

「相続」と「保険」。関連性があるようでないような・・・。実は相続において保険は、色々と役に立つことが多くあるのです。今回は、相続における保険のメリットや活用法をご紹介します。
まず、保険が役に立ったとよく言われるシーンは相続が発生した直後などといわれています。預貯金などはすぐに引き出せない場合があるのに比べて、保険は簡単な手続きで保険金を受け取ることができ、葬儀代金の支払いなどでまとまった現金が必要な場合に役に立ったと感じた方も多いようです。

このほか、相続において生命保険は、相続税額を減らしたり、遺産分割の争いを避けたり、納税資金をつくるなどのメリットも多くあるのです。

なぜ今、相続対策なの?

2015年に相続税の改正があり、相続税を払う可能性のある人が増えることになりました。どれくらい増えるのかというと、今の日本では毎年約120万人あまりの方が亡くなっており、これまではそのうち約4%のご遺族に相続税がかかっていました。つまり5万人ぐらいのご遺族が相続税の納税対象者でした。それが2015年の相続税制改正で、亡くなる方の約6%~8%のご遺族にまで対象者数が拡大したのです。つまりこれまでに比べて約2~4万人程度、相続税について何らかの対策が必要になる方が増えることになったのです。今まで自分は相続税には無縁と思っていたけれど、今回対象になるという読者の方もいらっしゃるかもしれません。

相続対策の3本の矢

一般的には相続対策は大きく3つの方法があると言われています。
1つは遺言、もう1つは生前贈与、最後に生命保険です。

遺言は、亡くなった方の財産の分配方法の指示書であり、死後の財産整理をスムースにするためのものです。遺言書は法的効力があるように作成されます。例えば「エンディングノート」のようなものに、「財産を○○さんに差し上げる」と書いても、相続人がそのようにしないと意味がありません。しかし、有効な遺言書で「○○さんに相続させる」と書けば、原則はその通りに実行されます。特定の人に財産をのこしたい場合や、相続人の間で遺産分与をめぐる混乱を避けたい場合には有効な相続対策となるでしょう。
生前贈与は、主に相続税の負担を減らしたい場合に選ばれる手法です。財産を子供や孫などに贈与することで、亡くなるまでに財産を減らそうということです。ただし、一定金額以上の財産をあげると、もらった人は贈与税という税金を払うことになります。渡す財産の目安は、相続税と贈与税のどちらが少ないかという視点で考えます。贈与税を払ってでも、相続税の方が高いと試算される場合には、まとまった財産を生前贈与する方法が選択される人もいます。

また、保険料の支払方法が「掛け捨てタイプかどうか」によっても分けることができます。この点は保険選びでは気になるポイントのひとつかもしれません。掛け捨てタイプの大きなメリットのひとつは、一般的に保険料を比較的低く抑えられることがあります。しかしながら、保険料が抑えられている分、解約返戻金や満期金がないものが多いため(あったとしても少額)、貯蓄性を重視する場合にはあまり適しません。保障重視タイプの保険ですので、一定の期間やイベントに限定して厚い備えをしたい場合に活用するほうがよいでしょう。

第三分野の保険の特徴

そして、生命保険を使う場合には、いくつかの目的があります。これらが、相続に生命保険を活用するメリットともなります。
1.遺言的に活用するため
2.相続財産の非課税分を増やすため
3.相続税の支払い原資を確保するため

相続対策・保険の活用法

1.保険金の受取人に遺産を渡したい人を指定することで、遺言を作らずとも希望する人にのこしたい金額を渡すことができます。これが遺言的な活用方法です。
支払われた保険金は、指定された受取人の固有財産となるので、遺産分割協議は不要です。受取人が単独で生命保険会社に申請し支払いを受けることができます。

2.保険金は相続税の計算上は相続財産とみなされますが、「500万円×法定相続人数」という非課税枠があります(保険の契約者と被保険者が同じ場合)。これによって非課税枠分、相続財産が少なくなるため、相続税額を引き下げる効果があります。使う見込みのない預貯金を持っている場合などは、預貯金を終身保険などの生命保険に組み換えることも検討できるでしょう。

3.資産の大半が分割しにくい不動産である場合や、相続人に預貯金が少ない場合などでは、相続税の支払い原資の確保が重要となりますが、この場合も生命保険を活用する方法があります。一般的にこのような場合には、不動産を相続する予定の相続人(遺産を多く受け取る相続人)を保険金の受取人とすることで、一定の納税原資を用意することが可能となります。また、不動産など遺産を多く受け取った相続人が保険金をほかの相続人に支払うことで、遺産分割協議をスムースに進められる効果もあります。

このように、色々な場面で様々な用途に使うことができるのが、生命保険の特徴なのです。

※健康状態によっては、加入できない場合や、通常の保険料より高くなってしまう場合があります。
※相続税の非課税枠については近隣の税務署や税理士に確認ください。
※個々の相続税のご相談は税理士にご相談ください。
※死亡保険金は民法上では相続財産ではなく、受取人固有の財産として位置づけられます。
※遺言の正式な記載方法は、公証役場や弁護士等にご相談ください。

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

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