保険の有効活用術

「マイナス金利で注目される生命保険料控除」 「マイナス金利で注目される生命保険料控除」

高橋成壽

profile

高橋成壽(たかはしなるひさ)

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。

FP王子の愛称で親しまれている新進気鋭のファイナンシャルプランナー。職種、業種、収入、性別を問わず相談を受けており、クライアント年齢も20代から90代まで老若男女から頼りにされる存在。100年安心して暮らせるプラン作りをモットーに、相談、執筆、講演を行っている。
1978年生まれ、神奈川県藤沢市出身。慶應義塾大学総合政策学部卒。NPO法人日本FP協会認定CFP®
近著・監修「もしもデューク東郷が終活ノートを作ったら(実業之日本社)」、「ダンナの遺産を子どもに相続させないで(廣済堂出版)」

マイナス金利政策の影響は生命保険会社にも波及しています。一部の保険会社では、一時払終身保険や一時払養老保険といった一括払いタイプの生命保険が販売停止に至っています。マイナス金利の状況下でも保険を有効に活用する方法はないのでしょうか?

そこで今回は「生命保険料控除」をご紹介します。生命保険料控除により所得税と住民税の税負担の軽減ができるのです。今のような超低金利下では預貯金の利息はわずかです。得られるものが少なくなるのであれば、控除を利用した支払いを減らす方法は益々重要になってきます。

改めて注目される生命保険料控除の仕組み

税金の「控除」と聞くと、何を思い浮かべますか?寄附した額が控除される近年人気の「ふるさと納税」だったり、会社にお勤めの方ですと毎年年末に行う「年末調整」などでしょうか?
おそらく、多くの方は年末調整の申請をする際に生命保険料控除の欄がどのようになっているかまでは記憶されていないと思いますが、年末調整の保険料控除の記載箇所には3つの枠があります。「一般生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」です。
この中でも多くの方に身近なのは、「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の枠でしょう。例えば終身保険や養老保険に加入されている方は、一般生命保険料控除が利用でき、個人年金保険なら個人年金保険料控除が使える場合があります。

所得控除の仕組みを知ろう!

この生命保険料控除は、課税所得を減らすことができる仕組みです。もっとも支払った保険料全額が保険料控除の対象となるわけではありません。上限が設けられているとともに、保険料に対してどの位の所得が控除されるかの計算式が決められています。
また所得控除は収入を計算上減らすことで、所得税と住民税を減らす仕組みであり、支払った保険料分の所得税及び住民税が減るわけではありません。
所得税も住民税も税率が決まっていますので、生命保険料控除の金額×税率が実際の減税額となります。次の図をご覧ください。

  所得税 住民税
区分 年間払込保険料 控除される金額 年間払込保険料 控除される金額
一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料(税制適格特約付加) 20,000円以下 払込保険料全額 12,000円以下 払込保険料全額
20,000円超
40,000円以下
(払込保険料×1/2)
+10,000円
12,000円超
32,000円以下
(払込保険料×1/2)
+6,000円
40,000円超
80,000円以下
(払込保険料×1/4)
+20,000円
32,000円超
56,000円以下
(払込保険料×1/4)
+14,000円
80,000円超 一律40,000円 56,000円超 一律28,000円

出所:公益財団法人 生命保険文化センターHP(※引用データは2016年5月時点のものです。最新の情報はこちらよりご確認ください)

住民税は自治体によって金額が異なりますが、所得に応じた所得割という部分に対しては10%の税金がかかります。所得税率は収入によって段階的に税率が増えるような仕組みになっています。5%~45%と幅がありますので、自分の減税額を試算する場合は、ご自身の所得金額を計算しなければなりません。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4.000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

出所:国税庁タックスアンサー(※引用データは2016年5月時点のものです。最新の情報はこちらよりご確認ください)

早めの準備を

生命保険料控除は、所定の条件を満たしていれば毎年活用できます。
保険料を支払い、保険契約が継続していれば、今年も来年もその次の年も使えることになります。今年の生命保険料控除の枠を使いたい場合は、遅くとも12月までに保険料を納める必要があります。お勤めの方で、加入した保険を年末調整に反映させたい場合は、9月ぐらいまでに加入しておくと保険会社から生命保険料控除用の証明書が送られますので、年末調整の手続きがスムーズです。

預貯金の金利は一段と下がり、運用にお困りの方も多いかと思います。このような環境では、リスクを取った運用を取り入れて資産を増やすことを目指す方法のほか、税金の各制度を活用して、支払を減らす工夫も大切です。

※当行では具体的な税額の計算、および、税務申告書類作成にかかる相談業務はおこなっておりません。個別の取り扱いについては、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご確認ください。

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