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住宅ローン金利が上昇したら、どう対処する? 住宅ローン金利が上昇したら、どう対処する?

金子千春

profile

金子千春(かねこちはる)

千春コンサルティング事務所代表。約9年間の銀行窓口経験を経て2004年よりFPとして独立。文京区民向けのライフプランセミナー、国家公務員共済組合主催の住宅ローンフェア講師、住宅展示場での住宅ローンセミナーやローン相談、宅建資格講座の講師、企業のDCセミナー、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ということのないようにという観点から、幅広い分野で活動中。

日銀が金利上昇を容認?

日銀は2018年7月30日、31日に金融政策決定会合を開催。会合後の記者会見で黒田東彦総裁は、長期金利の変動幅を今までの倍程度にあたる「プラスマイナス0.2%程度」に拡大すると発表しました。実質的には金利上昇を容認とも言える決定です。この金融政策の見直しを受けて長期金利は上昇しました。"金利上昇??"となると、気になるのが住宅ローンの金利への影響です。今後どうしたら良いかを、考えてみましょう。

10年国債の利回り(長期金利)が上昇

日銀は2016年9月より「長期金利については10年国債金利がゼロ%程度で推移するように誘導する」など長期金利を誘導目標に加えるイールドカーブコントロール(*グラフの下に用語解説があります)を導入。これによって10年国債の利回りはおおよそ「±0.1%」の範囲内に抑えられていました。今回2018年7月の会合で日銀は、長期金利の変動幅をプラスマイナス0.1%から0.2%に拡大することを容認しました。この政策の見直しを受けて10年国債利回りが上昇しました。(下図参照)

<10年国債の利回り推移(週足 2017年8月~2018年8月までの1年間)>

<新発10年国債利回り 過去1年分の推移>

(出所:市場データを元に執筆者が作成)

*イールドカーブとは期間の短い金利と長い金利をつないだ利回り曲線。イールドカーブコントロールは1年以下の短期と期間10年の長期という2つの金利を操作して金利を調整すること。

金利はこれから上昇に転じる?

今回の日銀の決定は、あくまでも変動幅を拡大したのであり「長期金利をゼロ程度で推移するように誘導する」という目標は変えておりません。「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」と、引き続き金融緩和政策を続けることを約束しています。また短期金利についても、これまで通り「マイナス金利」を維持するスタンスは変えていません。
金利見通しや金融政策分析などは専門家に任せるとして、現状を簡単に整理すると次のようにまとめることができるでしょう。
・景気は堅調だが、なかなか物価が上がってこない
・そのため、日銀はまだまだ低金利政策を継続したい
・2019年10月には消費税率の引き上げが予定されており、増税が個人消費などを冷え込ませる悪影響も想定されるため、景気の抑制要因となる金利の上昇は抑えたい
・しかし金利の下がりすぎによる「副作用」も顕在化しているので対策も必要

これらを踏まえて、金利の上昇は容認できないものの、一段の金利低下にも注意を払っていく、という感じでしょうか。金利はさらに下がる可能性は低いものの、これからどんどん上昇していくこともなさそうだ、と見ておくのがベターではないでしょうか。

住宅ローンの金利はすぐ上昇するの?

したがって、住宅ローンの金利についても、変動金利型ローンの場合なら、今後もしばらくは現状と同じような水準が続くと予想されます。一方で、10年以上期間が固定される固定金利期間選択型や全期間固定金利型については、長期金利の上限が拡大されたことで0.1%程度は上昇する可能性もあるということはおさえておく必要があるでしょう。

政策会合後の8月住宅ローン金利はどう動いたのか?

まず、全期間固定金利型であるフラット35の金利に変化はありません。また、代表的な10年固定型の最優遇金利では三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行の大手4行は据え置き、りそな銀行では0.05%引き上げ、と10年以上金利を固定するタイプで金利を引き上げる金融機関もでてきていますが、すぐに住宅ローンの金利上昇につながっているわけではなさそうです。(執筆者調べ)

今後の住宅ローンはどう考える?

では、今後の住宅ローンを利用する際には、どのように考えればよいでしょうか? 前述のように今後さらに金利が下がる状況は考えにくいといえます。一方で、金利がさらに上昇していく、という状況でもなさそうです。

そのため当面、低金利が続くのであれば金利が低い変動金利(半年型)を選択する、との考えもありますが、住宅ローンでの重要なポイントは「自分が希望する生活を送りながら無理なく安心して返済していくこと」です。 「長期金利はさらに下がる状況は考えにくい」「しばらく金利は低水準が続きそう」という観点から考えれば、金利低下の底打ち感から金利を固定化することを検討してみても良いかもしれませんね。

といっても必ずしも全期間固定金利型を選ぶのがベストというわけではありません。例えば、「当初35年で組んでも最終的には20年程度で返済するのであれば20年固定を選ぶ」という選択もありますし、夫婦共働きであれば、固定金利型と変動金利(半年型)のペアローンを組み固定金利部分を多くしておき、変動金利(半年型)から繰り上げ返済をするという考え方もあります。 あるいは「こどもの教育費がかかる10年程度は金利を固定化する」など金利上昇リスクを取りにくい期間の金利を固定化することで、自分のライフプランに適した返済スタイルを実現する、ということです。

金利上昇という言葉に惑わされずに自分に合った商品選びを忘れずに!

「金利上昇」というワードを聞くと、住宅ローンを選択する際に、金利タイプや金利水準ばかりに目が行きがちですが、いずれにしても日銀は、「長期金利については10年国債金利がゼロ%程度で推移するように誘導する」わけですから、多少の変動があっても金利は低い水準が続くことが予想されます。
多少の金利差であれば、「付帯サービスの充実度」「繰り上げ返済の利便性」「諸費用の安さ」といった金利以外の商品性も含めた総合的な観点での商品選びがますます重要といえるでしょう。
単に「金利が上がりそうだから」と焦らずに、まずはしっかりと資金計画を立てて、個々の家計状況やライフプランに合った商品選びをすることをオススメします。

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • ・本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
  • ・金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • ・上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を新生銀行が保証するものではありません。
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