本業を通じた気候変動課題への取り組み

新生銀行は、TCFD(Task Force on Climaterelated Financial Disclosures;気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言への賛同を表明しています。このTCFDのフレームワークに沿って、新生銀行グループの本業を通じた気候変動課題への取り組みについてご説明します。

ガバナンス

新生銀行グループは、グループサステナビリティ経営ポリシーを経営戦略立案の出発点となる基本方針に位置づけ、持続可能な社会の構築に貢献することによって、企業としての社会的責任を果たし、持続可能な成長機会を獲得していくことを掲げています。

持続可能な社会の実現のためには、気候変動課題への対応は不可欠であり、気候変動対策に資する事業への投融資などさまざまな取り組みを通じて、社会的な価値創出と、新生銀行グループの中長期的な企業価値向上に努めていきます。

サステナビリティ経営の推進体制

2021年1月に、「チーフ サステナビリティ オフィサー(CSO)」を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を設置しました。「グループサステナビリティ委員会」をグループ重要委員会のひとつに位置づけ、マネジメントによる強いコミットメントのもとで推進体制を強化しています。同委員会のメンバーには執行役員も含まれ、中長期戦略を踏まえたサステナビリティ経営の協議・取り組みの進捗報告などを行っています。また、グループ経営会議にサステナビリティ経営にかかる重要事項の付議、報告を行い、取締役会に対しても定期的な報告を行っています。

グループサステナビリティ委員会のもと、法人ビジネス、個人ビジネスでは、グループサステナビリティ委員会で協議・報告・決議された事項についての推進責任を負うサステナビリティ推進責任者を任命し、“Sustainability as a Business”を推進しています。また、グループ全体の取り組みを企画・統括するグループ経営企画部サステナビリティ企画室が、グループ一体としてのサステナビリティ経営を促進しています。

新生銀行グループでは、統合的なリスク管理のフレームワークにおいて、気候変動にかかる物理的リスクおよび移行リスクを重要なリスク(トップリスク)であると認識すると同時に、気候変動課題の解決に向けたサステナビリティ経営の推進をリスク選好方針に含めています。取締役会は、新生銀行グループの重要なリスク(トップリスク)およびリスク選好方針を決議しています。

戦略

機会

環境・社会課題の改善に貢献するビジネスの推進
新生銀行グループは、持続可能な社会の実現のためには、気候変動をはじめとする地球環境問題は極めて重要な問題であり、グループのサステナビリティ経営においてもビジネスリスクであると同時に、大きなビジネス機会であると捉えています。これまで、再生可能エネルギー事業に対するプロジェクトファイナンス、環境不動産や船舶ファイナンスにおける環境負荷低減設備などへの投融資を通じて、環境・社会課題の改善・解決に資するプロジェクトや事業者への投融資に積極的に取り組んできました。
この取り組みをさらに深化させるために、2019年度には法人ビジネスユニット内に「サステナブルインパクト推進部」を設立し、各部署と連携しながら、サステナブルファイナンスの企画・営業推進や機関投資家向け運用商品の開発・供給を行っています。また、2021年1月には「グループサステナビリティ委員会」の設置といった、グループ全体のサステナビリティ経営の包括的推進体制構築、高度化を行っており、今後は、より一層グループ横断的な連携を図りながら、ビジネス機会を捕捉していきます。

新生グリーンファイナンス・フレームワーク
脱炭素社会への移行に向けた国内外の動きが加速する中で、気候変動の緩和や適応に貢献するプロジェクトなどへの投融資をさらに拡大し、積極的にビジネス機会を捕捉していくことを目的として、2020年5月にグリーンローン原則など、国内外の関連原則と整合した「新生グリーンファイナンス・フレームワーク」を策定しました。サステナブルインパクト推進部の内室であるサステナブルインパクト評価室が、融資の対象となるプロジェクトのポジティブおよびネガティブなインパクトなどを確認し、フレームワークへの適合性を評価しています。2020年度には、太陽光発電所、地域の未利用材を活用した木質バイオマス発電所、グリーンビルディングといったプロジェクトなど計8件(計627億円)の融資を、このフレームワークに適合する新生グリーンローンとして組成・実行しました。こうした投融資の組成や実行に際しては、地域金融機関のお客さまとも協働することで、より大きな資金循環を創出することを目指しています。

2020年度の取り組み
新生銀行では、2012年以来、太陽光・風力・バイオマスなど再生可能エネルギー事業に対するシンジケートローンの組成を積極的に推進し、地域金融機関の皆さまとともに再生可能エネルギーの普及拡大をサポートしています。2020年度も、風力発電事業向けプロジェクトファイナンスやインフラ投資法人向けファイナンスなどを中心に積極的に取り組み、そのうちいくつかは「新生グリーンローン」として組成しました。この「新生グリーンローン」のシンジケーションや、プロジェクトボンドの活用によりディストリビューション手法の多様化を図り、より大きな資金循環の創出を目指しています。また、大和エナジー・インフラ株式会社とともに、再生可能エネルギー発電事業向けプロジェクトファイナンスにおけるメザニンファイナンスの提供を開始しました。
不動産ファイナンスでは、外部認証を取得した環境不動産に対するノンリコースローンを複数件実行したほか、新たなアセットタイプとして環境負荷軽減にも配慮された大型ハイスペック物流施設向けのファイナンスを実行しました。また、船舶ファイナンスでは、スクラバー付き船舶やLNG燃料船への貸出残高を拡大させています。

リスク

認識するリスク
気候変動は、主として以下2つの経路から当行グループのポートフォリオに影響を及ぼすと考えます。

物理的リスク:洪水、暴風雨などの気象事象によってもたらされる財物損壊などの直接的インパクト、グローバルサプライチェーンの中断や資源枯渇などの間接的インパクト
移行リスク:脱炭素経済への移行に伴い、GHG排出量が大きい金融資産の再評価によりもたらされるリスク

炭素関連資産エクスポージャー(全体エクスポージャーに占める炭素関連資産(エネルギーとユーティリティ(除く太陽光や風力発電などプロジェクトファイナンス)))の比率は、2020年3月は4.2%、2021年3月は3.7%です。

シナリオ分析

気候変動への対応を経営上の重要課題のひとつと位置づけ、日頃よりモニタリングしている景気変動と2次元でシナリオの世界観、機会とリスクを整理しました。

気候変動関連のリスクについて当行グループに重要な影響を与える投融資先セクターを特定するに当たっては、セクターごとにリスク評価を実施し、当行グループのポートフォリオ構成から、重要度の検討を行っています。物理的リスクの高い業種は「不動産(含む個人向け)」、移行リスクの高い業種は、「電気・ガス・熱供給・水道業」「水運」「石油精製」に着目しています。これらの業種につきそれぞれ物理的リスクの定量化、移行リスクの定量化の結果を開示していく方針です。今回は「不動産」を中心に物理的リスクの定量化を検討しました。具体的には、国内不動産ノンリコースローン、住宅ローン、国内プロジェクトファイナンスについて物理的リスクの影響額を試算したところ、2021年から2050年にかけての与信関連費用は30年間の累積で15億円から30億円程度と予測しています。現時点で早急に対応策を打つ必要はないと思われる水準であるものの、継続してモニタリングしていくこととしています。

今後、物理的リスク定量化範囲の拡大を検討するとともに、移行リスクの高いセクターについて定量化を進め、脱炭素社会への移行に向けた課題の改善・解決に資するプロジェクトや事業者への投融資に積極的に取り組んでいきます。

リスク管理

責任ある投融資への取組方針

新生銀行グループでは、環境問題および社会課題に適切な配慮を行わない企業と取引することを経営リスクととらえており、一部の特定事業に対する投融資については環境および社会に対する重大なリスクがあるという認識のもと、取引を禁止もしくは制限しています。2021年7月には、責任ある投融資を推進する体制の高度化を目的としてセクター横断的な禁止・留意項目の追加などの見直しを行いました。気候変動対策の観点では、予防的アプローチに基づき、新設の石炭火力発電の建設を使途とする新規の投融資については、国内外ともに行わないこととし、これにより石炭火力発電所向け投融資額の圧縮を進めていきます。

赤道原則への取り組み

新生銀行は、2020年4月に日本の金融機関では7番目に赤道原則を採択しました。赤道原則は、大規模開発を伴うプロジェクトに融資する際に、プロジェクトが環境や社会に十分配慮して実施されるかを確認するための、民間金融機関による枠組みであり、2019年11月には、人権、気候変動、先住民の権利等の観点を強化した第4版が採択されています。赤道原則に基づきプロジェクトの環境・社会への影響をレビューし総合的な意思決定を行うことで、企業としての社会的責任を果たすとともに環境・社会リスク管理の高度化を図ります。

ポセイドン原則の採択

新生銀行は、海運業界の気候変動リスクに対する金融機関の取り組みとして設立されたポセイドン原則に、2021年3月にアジアで4番目の金融機関として署名しました。ポセイドン原則に参画する金融機関は、ファイナンス対象船舶の毎年の温室効果ガス排出量を集計し、各船舶および船舶ファイナンスポートフォリオ全体の温室効果ガス排出量削減目標に対する貢献度を算出のうえ公表します(新生銀行は、2022年度から公表します)。新生銀行は、今後、船舶ファイナンスに積極的に取り組む金融機関として、ポセイドン原則も活用しながら海運業界のサステナビリティへのトランジション(移行)を金融面から支援するとともに、事業に伴う気候変動リスクをマネジメントしていきます。

気候変動関連リスクの識別と管理

新生銀行グループでは、統合的なリスク管理のフレームワークにおいて、気候変動に関する規制強化および脱炭素社会への移行に伴う影響、ならびに気候変動に伴う大規模自然災害による影響を重要なリスクとして定義しています。脱炭素社会への移行、加えて大規模自然災害の発生を契機とする与信関連費用の増加等を想定し、モニタリングする仕組みについて高度化を図ります。

指標と目標

GHG排出量

Scope1・2の中で最も寄与の大きい電力について、新生銀行およびグループ会社へのGHG排出量開示範囲の拡充を目指し、その計測体制を構築しました。今後、Scope1・2計測・開示範囲のさらなる拡充対応を行った上で、GHG排出量の削減に向けた目標設定を行っていく予定です。また、投融資先のGHG排出を含むScope3計測・開示に向けた取り組みに着手しています。

関連コンテンツ