赤道原則への取り組み

新生銀行は、2020年4月に「赤道原則」(Equator Principles)を採択しました。赤道原則は、開発を伴うプロジェクトに融資する際に、金融機関がそのプロジェクトの環境・社会リスクを特定、評価、管理するための民間金融機関による共通の枠組みです。

赤道原則とは

equator principles

大規模なインフラ整備や開発を伴うプロジェクトは、自然環境や地域社会に負の影響を及ぼす可能性があります。金融機関も資金の貸し手としてこうした負の影響を回避または緩和するために、2003年に赤道原則が策定されました。2020年12月末現在、37ヵ国114の金融機関が赤道原則を採択しており、国内外のプロジェクトにおいて広く適用されています。また、赤道原則は継続的に改訂されており、2019年11月には人権の尊重や気候変動問題への配慮を一層強化した第四版が採択されました。

赤道原則は、プロジェクトの所在国や業種を問わず以下の要件を満たすプロジェクトファイナンス等を対象としており、融資の際には10の原則の遵守が求められます。赤道原則採択行は、遵守を確認するための内部体制を構築します。具体的には、赤道原則を含む環境・社会配慮のための社内規程を制定し、融資プロセスに組み込むことが求められます。
赤道原則採択行は、赤道原則を遵守しないプロジェクトに対して融資を提供しません。

赤道原則の適用対象となる金融商品の種類と要件

金融商品の種類 要件
プロジェクトファイナンス プロジェクト総額10百万米ドル以上の全ての案件
プロジェクトファイナンス・アドバイザリー 同上
プロジェクト紐付きコーポレートローン

次の3つの条件を全て満たすコーポレートローン

  1. 総借入額の過半が特定のプロジェクトに向かい、かつ当該プロジェクトの実質的な支配権(Effective Operational Control)を顧客が(直接的又は間接的に)有する
  2. 総借入額と当行コミット額(シンジケーションもしくはセルダウン前) が 50百万米ドル以上
  3. 貸出期間が2年以上
  • バイヤーズクレジット型の輸出金融を含みますが、サプライヤーズクレジット型の輸出金融は含みません。また、一般運転資金、アセットファイナンス、ヘッジ取引、リース及び信用状取引(L/C)も適用対象外となります。
ブリッジローン

貸出期間2年未満で、上記の要件を満たすプロジェクトファイナンスまたは PRCL によってリファイナンスされることを意図したもの

プロジェクト紐付きリファイナンス
プロジェクト紐付き買収ファイナンス

次の3つの要件を全て満たす案件

  1. 対象プロジェクトが過去に赤道原則のフレームワークに基づいて融資されている
  2. プロジェクトの規模あるいは目的に重大な変更が無い
  3. 融資契約締結時点で、プロジェクトが完工していない

採択の背景

新生銀行は、グループESG経営ポリシーにおいて、環境問題および社会課題への真摯な取り組みが経営理念の実現につながるとの認識のもと、環境問題および社会課題に適切な対応を行わない企業や事業と取引することを経営リスクと捉えています。
また、新生銀行は経営上の重点課題(マテリアリティ)の一つとして、「社会・環境課題の解決に向けた役割」を掲げており、持続可能な社会資本への資金循環を促進する金融ソリューションの提供を推進しています。具体的な取り組みの例としては、2012年以来、国内の再生可能エネルギーを中心に太陽光・風力・バイオマスなど再生可能エネルギー事業へのプロジェクトファイナンスの組成を積極的に推進し、再生可能エネルギーの普及拡大をサポートしてきました。
新生銀行は、マテリアリティを通して社会的にポジティブなインパクトを創出していくためには、企業としての社会的責任と、資金の出し手として環境・社会配慮をお客さまに働きかけていく役割を強く認識し、融資するプロジェクトにおける環境・社会リスクの管理体制を強化することが不可欠と考え、赤道原則を採択しました。

実施体制とプロセス

実施体制

新生銀行は赤道原則の採択にあたり、社内規程「赤道原則に係る運用手続」を制定し、融資決定プロセスにこれを組み込んでいます。サステナブルインパクト推進部サステナブルインパクト評価室は、当該手続に基づき、赤道原則遵守確認を含む環境・社会影響レビューを実施します。具体的な役割分担および業務フローは以下の通りです。

業務フロー図

環境・社会影響レビューの実施方法

赤道原則の適用対象となる案件について、社内規程「赤道原則に係る運用手続」に基づき、赤道原則遵守の確認を含む環境・社会影響レビューを実施します。

カテゴリー付与

大規模開発プロジェクトへの融資を担当するフロント部署は、環境・社会リスクの影響程度を把握するためのチェックリストである「スクリーニングフォーム」や関連情報をサステナブルインパクト評価室に提出します。サステナブルインパクト評価室は、これに基づいて赤道原則の原則1(レビュー、およびカテゴリー付与)に従い、プロジェクトの人権、気候変動、生物多様性の観点も含めた潜在的な環境・社会に対するリスクと影響の大きさに応じたカテゴリーを付与します。それぞれのカテゴリーの定義は以下の通りです。

カテゴリー 定義
A 環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト
B 環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト
C 環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト

環境・社会影響レビュー

サステナブルインパクト評価室は、「赤道原則適用チェックリスト」や業種別となる「環境チェックリスト」等を基に、赤道原則遵守の確認を含む環境・社会影響レビューを行います。赤道原則上の遵守事項およびそれらのレビューは、プロジェクトの性質、規模や段階、および付与されたカテゴリーの環境・社会リスクと影響の大きさに見合ったものとなります。また、原則8(誓約条項(コベナンツ))に基づき、融資契約に赤道原則の遵守に関する内容を盛り込むことをお客さまと合意します。
赤道原則遵守状況を含む環境・社会影響レビューは、同室からフロント部署に通知されます。レビュー内容はリスク管理部署にも共有され、与信判断の一要素に組み込まれています。

例:カテゴリーAを付与したプロジェクトに求められる環境・社会配慮

原則 内容
原則2 環境・社会アセスメントの実施
原則3 適用される環境・社会基準の遵守
原則4 環境・社会マネジメントシステムの構築、赤道原則アクションプランの策定
原則5 ステークホルダー・エンゲージメントの実施
原則6 苦情処理メカニズムの構築
原則7 独立した環境・社会コンサルタントによるレビューの実施
原則8 誓約条項(コベナンツ)の設定
原則9 独立した環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告の検証
原則10 情報開示と透明性の確保

IFCパフォーマンススタンダードと世界銀行グループ環境・衛生・安全(EHS)ガイドライン

赤道原則では、「IFCパフォーマンススタンダード(IFC Performance Standards)」および「世界銀行グループ環境・衛生・安全(EHS)ガイドライン(The World Bank Group Environmental, Health and Safety (EHS) Guidelines)」を参照しています。これらは、民間セクターにおける環境および社会的リスク管理のベンチマークとして世界的に広く採用されています。

<IFCパフォーマンススタンダード>

以下の8項目で構成された、環境および社会リスクに関する実施基準です。

PS1 環境・社会に対するリスクと影響の評価と管理

PS2 労働者と労働条件

PS3 資源効率と汚染防止

PS4 地域社会の衛生・安全・保安

PS5 土地取得と非自発的移転

PS6 生物多様性の保全および自然生物資源の持続的利用の管理

PS7 先住民族

PS8 文化遺産

<世界銀行グループ環境・衛生・安全(EHS)ガイドライン>

環境(Environment)、衛生(Health)、安全(Safety)における、国際的な業界グッド・プラクティスを含んだ技術的参照文書です。全ての産業セクターに適用できる「一般EHSガイドライン」と、個別産業特有の影響や評価指標を含む「産業セクター別ガイドライン」で構成されています。

モニタリング

新生銀行は、融資期間にわたって、お客さまから提出される定期報告書等により、適用対象となる案件が赤道原則に関する誓約事項を遵守しているかを定期的に確認します。

赤道原則の実施状況

社内研修の実施

2020年4月の赤道原則の採択に際し、フロント部署および審査セクション担当者を対象にオンライン研修を実施しました。そこでは、プロジェクトが環境・社会に及しうる影響やそのリスクについて事例を通して説明し、環境社会配慮の重要性に対する認識を深めたうえで、赤道原則の概要および環境・社会影響レビューの実施フローの説明をしました。この他、より実務に特化した研修も実施し、その内容は録画され、随時視聴可能となっています。
新生銀行では、今後も定期的な社内研修の実施等を通じて、環境・社会配慮に対する社内意識の醸成に努めていきます。