外貨預金の手数料は高いの?手数料と金利を比較して解説

本記事は、SBI新生銀行からのお知らせです。

外貨預金で資産運用をするとき、「金利」や「為替変動」に注意が必要なことはご存じの人も多いことでしょう。しかし、外貨預金では「為替手数料」も大事なポイントの1つとなります。この記事では外貨預金の手数料の仕組みや、利益を出すポイントなどを紹介します。

外貨預金の手数料の仕組み

外貨の交換には為替手数料がかかります

円と外貨を交換する時は、「為替手数料」が発生します。例えば、アメリカに旅行へ行く時や、米ドルの外貨預金に預け入れをする場合には、日本の「円」を「米ドル」に交換します。このときに「1ドルにつき○円」などと決められた「為替手数料」を、両替を行った金融機関に支払う必要があります。

ただ、なかには「海外旅行によく行くし外貨預金もしているけど、為替手数料はかかっていたのかな?」という人もいるかもしれません。それは為替手数料は「手数料」という形で表示されず、円を外貨に交換するときの為替レートの中に含まれていることが多いので気が付かなかったのでしょう。

では、「手数料が為替レートに含まれている」というのはどういうことなのでしょうか。

TTS、TTBって聞いたことありますか?

テレビのニュースなどで報じられる「外国為替相場」の値は、実は金融機関同士が外貨の取引をするときの為替相場の値であり、「銀行間相場(レート)」と呼ばれるものです。

それに対して、私たちが円を外貨にしたり、外貨を円にしたりするときのレートは「TTS」や「TTB」と呼ばれます。このレートには、手数料が含まれています。

<為替レートの種類>
名称 内容 為替手数料
銀行間相場 金融機関同士が外貨の取引をする際の為替レート 含まれていない
TTS 円を外貨に交換する際の為替レート 含まれている
TTB 外貨を円に交換する際の為替レート 含まれている

・TTSとは
私たちが円から外貨預金をしたり、海外旅行で手持ちの円を外貨に交換したりするときの為替レートは「対顧客電信売相場(Telegraphic Transfer Selling rate)」、略して「TTS」と呼ばれます。このTTSには、あらかじめ手数料が含まれています。

例えば、銀行間相場が「1米ドル=120円」のときにTTSが「1米ドル=121円」という場合、銀行間相場とTTSには1円の差があります。この1円が、銀行など交換する業者がお客さまからいただく、手数料なのです。言い方を換えると、銀行間相場に交換する業者の収入となる手数料を上乗せしたのがTTSというわけです。

・TTBとは
上記と逆の場合、たとえば外貨預金を円に戻す時や、海外旅行から帰ってきて外貨を円に戻す時のように私たちが外貨を円に交換する際の為替レートは「対顧客電信買相場(Telegraphic Transfer Buying rate)」、略して「TTB」と呼ばれます。

こちらも、例えば、銀行間相場が「1米ドル=120円」のときにTTBが「1米ドル=119円」というように差があり、この事例の場合も1米ドルあたり1円の手数料が含まれているということになります。

なお、例では、銀行間相場とTTS、TTBとの差(手数料)を1円としましたが、手数料は通貨や金融機関、交換する場所によってそれぞれ異なります。

外貨預金の手数料の重要性が高い理由

前述の事例では、手数料は1米ドルあたり都度1円でした。円を外貨にしてその外貨を円に戻したら合わせて2円です。たいしたことないと感じた人、いませんか?
でも実は、外貨で資産運用をするうえで手数料の影響はとても大きいといえます。なぜなら、外貨預金で得られる利益よりも、支払う為替手数料のほうが高くなってしまうことがあるからです。

10万円を米ドルに交換したときの為替手数料は?

ここから、すこし“算数”をしますが、頑張ってついてきてください。次の前提条件の状況下で、10万円を米ドルに交換して戻したときの為替手数料を計算してみます。

(前提条件)
・手数料=1円(円を外貨に交換、外貨を円に戻す都度1米ドルあたり1円ずつかかる)
・銀行間相場「1米ドル=130円」(10万円を米ドルに交換するときも、交換した米ドルを円に戻すときも銀行間相場は同値だったとする)
・「TTS(円→外貨の交換レート)は1米ドル=131円」
・「TTB(外貨→円の交換レート)は1米ドル=129円」

・10万円を米ドルに交換すると約763米ドルになる
TTSが「1米ドル=131円」の場合、10万円は約763米ドル(10万円÷131円=約763.35米ドル)となります。
もしも銀行間相場の「1米ドル=130円」で交換できれば約769米ドルですから、TTSで交換すると約6米ドルほど少なくなります。この約6米ドルが手数料なのです。

・交換した米ドルを円に戻すと約98,427円になる
つづいて、この外貨預金を円に戻した場合(交換する米ドルは金利分を考慮せず)先ほどの例の交換で得た約763米ドルを、TTS 1米ドル=129円で円に戻すと、受け取れる円は約98,427円(763米ドル×129円=約98,427円)となります。

どちらの場合でも銀行間レートは「1米ドル=130円」のままなのに、元金10万円が約98,427円の受け取りと、元の10万円より少なくなっています。これは外貨の売買で約1,600円相当の手数料を払ったということを意味します。1,600円は10万円の1.6%分です。

ここまで読んでいただけたら、為替手数料の重要性を理解できたのではないでしょうか。

手数料が高いということは外貨預金は損なの?

外貨預金を利用するためには、まず円を外貨に交換する必要があるため、基本的には為替手数料がかかります。この為替手数料が高いことを知ると、外貨預金は損ではないかと思う人もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、外貨預金を始めるときに、期待できる「金利による利息」や「為替差益」から「為替手数料分」を差し引いて判断をすることが、外貨預金で利益を出すポイントになります。

先ほどの例をもとに考えてみましょう。手数料は各金融機関によって異なりますが、執筆時(2023年5月)の米ドルの1年ものの定期預金の金利は、概ね年0.01%~5.0%(税引前)程度です。預け入れる金融機関によっては1年間預け入れして得られる利息額よりも支払う為替手数料の方が多いことになってしまうのです。

また、別の見方をすると、手数料が1円(1米ドルあたりTTS、TTBに含まれるそれぞれ1円ずつ、都合2円の手数料)かかったら、(金利を考えないとすると)外貨を円に戻す時の為替レートが預け入れたときより2円以上円安になっていないと利益が得られないということにもなるわけです。

まとめると、為替手数料(前段落の例の場合だと1.6%)に負けない利息が得られそうな高金利の金融機関で外貨預金を始めたり、かかる為替手数料をカバーできるくらい円安になったタイミングを見計らって外貨を円に戻すようにすれば、為替手数料に負けない利益が得られるということです。

外貨預金の手数料を各通貨で比較

外貨預金の為替手数料は、金融機関や通貨によって異なります。外貨預金で扱われている主要な通貨の為替手数料の例をひとつ紹介します。

<SBI新生銀行の為替手数料(円から外貨、外貨から円の場合)>
通貨 1基本通貨あたり(片道)
米ドル 15銭
ユーロ 40銭
英ポンド 60銭
豪ドル 20銭
ニュージーランドドル 20銭
香港ドル 25銭
南アフリカランド 25銭
※2023年7月時点。スタンダードステージの場合

上記の通り、通貨によって手数料が異なります。メジャーな通貨である米ドルは、為替手数料が安く抑えられていることが多いです。

また、為替手数料の金額は金融機関によって異なるため、手数料が安い金融機関で交換することで負担を少なくすることができます。たとえば「1米ドル=130円」のときに130万円を10,000米ドルに交換する場合、為替手数料が50銭違えば、5,000円の差になります。

外貨に交換する金額が大きくなればなるほど、為替手数料の差は大きく影響します。まとまった金額を外貨にするときは、為替手数料が安い金融機関を選んで交換しましょう。

SBI新生銀行の手数料について詳細はこちら

外貨預金で利益を出すポイント

外貨預金を始めるなら、できる限り利益を大きくしたいでしょう。そのためには、預け方を工夫することが大切です。

金利が高い金融機関を選ぶ

外貨預金の魅力は、金利が円預金よりも比較的高い点です。金利は相場によって変わりますが、金融機関によっても差があるため、できるだけ預金金利が高い金融機関を選んで預け入れることが大切です。

<預金金利によって得られる利息金額>
預入金額 金融機関 米ドル預金金利(1年間) 得られる利息金額(1年後)
100米ドル A銀行 2.0% 2ドル
B銀行 4.0% 4ドル
C銀行 0.2% 0.2ドル
金融機関による差額 3.8ドル
※手数料・税金等は考慮していません

上記のように、同じ時期であっても、金融機関によって預金金利が異なることは決して珍しいことではありません。預け入れる金額が同じなら、預金金利が高い金融機関を選ぶほうが良いのは明白です。ちなみに、利子所得からは所得税・復興特別所得税および地方税を合計した20.315%が源泉徴収されます。

為替レートが良い時に交換する

外貨預金の利益を大きく左右するのが「為替レート」です。円の価値が高い「円高」の時に円を外貨に換えて、円の価値が下がった「円安」の時に外貨を円に換えると、利益が出やすいです。
為替レートは世界の経済情勢によって日々変わるので、ニュースなどで動向を把握するようにして、交換するタイミングを決断すると良いでしょう。

最新の為替レートはこちらから
参考)外貨預金は今から始めていいの?預け入れと引き出しのタイミングを解説

外貨と円を交換する回数を減らす

外貨取引時の負担となる「為替手数料」を減らすため、外貨から円、円から外貨に交換する「回数」を減らしましょう。
短期間で円と外貨の交換を繰り返す投資方法だと、為替手数料の負担が積み重なってしまいます。為替レートの変動による為替差益を狙って売買を繰り返すのではなく、高金利の外貨預金に預けるなど、一度円を外貨に換えたら中長期間にわたって外貨で運用を続けるようにして、円と外貨の交換回数をできるだけ減らすことを意識しましょう。

為替差益にかかる税金を減らす

円と外貨の交換をして利益が出たとき、つまり「為替差益」が出たときは、税法上では「雑所得」となるため原則として確定申告が必要です。雑所得はほかの給与などと同様、総合課税の対象になるため、0%~45%の所得税がかかります。

しかし、会社員や公務員、パート勤務等の場合、給与所得以外の所得が合計で年間20万円以下であれば確定申告が不要になっています。

複利で運用できる外貨預金を選ぶ

外貨預金の商品には、「単利」で運用されるものと「複利」で運用されるものがあります。両者の違いは「利息分にも利息が発生するか」ですが、運用期間が長くなるほど、複利のほうが利益を出しやすくなります。できれば複利で運用される商品を選びましょう。

<単利と複利>
単利 元本だけに利息が発生する
複利 元本+利息分に対して利息が発生する
同時に、利息がたくさんつく高金利の外貨預金に預けたときほど複利の効果は大きくなります。複利の商品を選ぶのはもちろんですが、前提として高金利の商品を選ぶことが大切です。

外貨預金を選ぶ際の注意点

外貨預金は”預金”と名前がついていますが、リスクがある投資商品の1つです。利益が出ることもあれば損失が出ることもあるので、注意しながら始めましょう。

元本保証でないと知っておく

外貨預金は元本保証ではありません。為替相場の変動により為替差損が出たり、為替手数料がかかったりすることで投資した資金が減ることがあります。そのため、為替変動によって為替差損が発生していても相場が戻るまで待てるよう、しばらくは使う予定がないお金を預けるようにしましょう。外貨預金は生活に使うお金を預けるのではなく、あくまでも余裕資金で行うことが大切です。

また、外貨預金は預金保険の保護の対象外なので、預けている金融機関が破綻したときに元本の保証がありません。万が一に備え、複数の金融機関に分散して預金をするのも一案です。

通貨の特徴を知っておく

外貨預金では多数の通貨が取り扱われていますが、それぞれ特徴があります。

米ドルやユーロなどの先進国の通貨は、値動きが比較的落ち着いています。一方で、豪ドルやNZドルなどは資源価格や農産物の動向に影響を受けやすかったり、南アフリカランドなどは高金利ですが値動きが非常に大きく財政状況によって大きく下落するリスクがあります。

外貨預金を始める時には、運用できる期間の長さや自分が耐えられるリスクの大きさなどを意識して、自分の投資目的に合わせて預ける外貨を選ぶようにしましょう。

*本文中の記載は手数料、税金等を考慮していません。

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執筆者プロフィール

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場説等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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