建築基準法ってなに?建築基準法の改正や耐震について解説

家を買う時に多くの方がはじめて建築基準法の存在を知るのではないでしょうか。住宅は土地のオーナーが自由に建てられるわけではなく、広さや高さ、または耐震などの安全性の基準が決まっています。
建築基準法は私たちの住まいの環境を守るための法律です。例えば、閑静な住宅街の真ん中に、突然大きな音がするアミューズメント施設ができたら住民はどう思うでしょうか。または、自宅が高い家に囲まれて、日光が全く当たらなくなってしまったら困ります。このようなことが起きないようにするために、建築基準法で建物の建て方のルールが決められています。
この記事では、建築基準法の概要について解説していきます。

住まいの環境に影響する用途地域

建築基準法では、地域を大きく住居地域、商業地域、工業地域に分けています。住居地域は、その名の通り、住宅地のことです。例えば低層住宅しか建てられない「低層住居専用地域」、中高層住宅を建てられる「中高層住居専用地域」といったように、住居地域だけでも様々な種類があります。住居地域だからといって、店舗や事務所が建てられないわけではありません。条件を満たせば建てられます。しかし、工場はほとんどの住居地域で建てることができません。

実は、住宅は一部の工業地域を除いて、住居地域以外の商業地域、工業地域にも幅広く建てられます。最近は、元々工場が立ち並んでいた工業地域が住宅街に変わっている場合もあり、用途地域は見た目だけでは判断できません。閑静な地域に住みたいなら住居地域、便利な知識に住みたいなら商業地域が向いています。マイホームには30年、40年住むかもしれません。その間にだんだんと周りの環境が変わってしまう可能性もありますので、用途地域はよく確認しておきましょう。

用途地域ごとの建築物の建設の可否

用途地域ごとの建築物の建設の可否

○:概ね建築可能
△:条件が合う場合のみ一部の建物は建築可能
×:概ね建築不可

(参考)国土交通省関東地方整備局 建築物の用途の制限 を元に筆者作成

建ぺい率は広さ、容積率は高さに影響する

次に、家を建てる時に多くの方が悩む家の広さと高さの規定について見ていきます。

1.建ぺい率

建ぺい率は、土地の面積(敷地面積)のうち、建物が占める部分(建築面積)の割合を示したものです。「建築面積÷敷地面積」で求められます。
例えば、建ぺい率が50%、敷地面積が100㎡の土地の場合は、50㎡部分にしか建物が建てられないということです。建ぺい率の上限は、日照や風通し、防災などを総合的に考えて建築基準法によって用途地域ごとに決められています。建ぺい率は高過ぎても低すぎてもデメリットが生じます。
例えば、大きな建物を建てたいと思ってせっかく広い土地を購入したのに、建ぺい率が30%では、小さな建物しか建てられません。また、土地に目一杯の建物を建てたいと思って、建ぺい率80%の土地を購入したら、周りの建物も建ぺい率80%で建てているので、隣の建物の壁と自宅の壁の隙間がほとんどなく、風通しや日当たりが悪い物件になってしまうことがあります。物件ごとの建ぺい率は、土地の売主か不動産仲介会社に確認すればすぐにわかりますので、気になる土地が見つかったらすぐに確認するようにしましょう。

2.容積率

容積率とは、建物の床面積の合計(延べ面積)を敷地面積で割ったものです。容積率の延べ面積には、階段は含まれますが一定の条件を満たしたバルコニーは含まれません。容積率も用途地域ごとに上限が定められており、50%程度の場合もあれば商業地域では1,300%の場合もあります。また、全面道路の幅員が影響する場合もあります。だからといって、難しく考える必要はありません。容積率がおよそ200%程度の土地であれば問題なく3階建の家が建てられます。一方で容積率100%程度の土地の場合はおそらく2階建てが限界でしょう。3階建てなどの高い建物を建てたい方にとっては、容積率は重要です。土地ごとの容積率も、売主か不動産仲介会社にすぐに確認をすると良いでしょう。

表1

接道義務を満たさない土地は要注意

建築基準法では、建築物の敷地は原則、4m以上の幅の道路に2m以上接していなければならない、と定められています。この法律は1950年に制定されたため、接道義務を満たさない土地に、法律制定前に建てられた家がある場合や、敷地の一部を地主が売ったことで、結果的に接道義務を果たさなくなってしまった土地はあります。建築申請を行わないでできるリフォーム以外では、このような土地に建っている建物は再建築をすることができません。接道義務を果たしていない土地は安い価格で取引される傾向があります。周辺よりも大幅に安い物件が見つかった場合は、うっかり接道義務を果たさない土地を買ってしまわないように気をつけましょう。

図:接道義務を満たす土地の例

接道義務を満たす土地の例

耐震基準について解説

日本は地震が多い国ということもあり、建築基準法では、耐震基準を定めています。 特に1981年に大幅に法改正され、新耐震基準が設けられたことは覚えておきましょう。改正前の旧耐震基準は、建物に対し震度5強程度の地震でも損傷しないことを定めていました。新耐震基準では旧耐震基準に加え、震度6〜7程度の地震でも倒壊、崩壊しないことが追加で定められました。
1995年の阪神・淡路大震災の時は、旧耐震基準時代の建物の6割以上に小規模〜大規模の損傷がみられました。しかし新耐震基準制定後に建てられた建築物で損傷が見られたのは、3割以下となりました。
国土交通省では、南海トラフ巨大地震に備え住宅・建築物の耐震化を進めており、2018年時点の住宅の耐震化率は約87%になっています。 建築年月日が1981年以前の中古物件を検討する際は、耐震診断と改修が済んでいるかを確認しましょう。

表2

建築基準法の過去の改正について解説

1950年に制定された建築基準法は、1981年の大改正以降も時代とともに改正されています。2000年には阪神・淡路大震災の被害の教訓を受けて木造住宅の基礎の形状やバランスを考えた壁の配置、柱や筋交いの接合などについて規制が強化されました。
2000年以前に建てられた木造住宅を購入する方は、建物が法改正後の基準通りになっているかを確認しましょう。
建築基準法の改正は、耐震基準だけがテーマではありません。2018年には防火と空家対策を進めていくために既存建築物を有効に活用するための改正が行われました。 具体的には、防火地域内に火が燃え移りにくい建築物を建てる場合は建ぺい率が10%緩和されたり、避難経路を確保すれば耐火建築物にしなくても戸建て住宅を他の用途に使用できるといったものが挙げられます。

ここまで見てきた通り、建築基準法に詳しくなると、物件選びに失敗するリスクを減らせます。同法をよく理解することで後悔しない家づくりをしましょう。

【執筆者】
遠藤功二(えんどうこうじ)
・CFPR
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

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  • ・また本稿の内容は2021年2月28日時点の情報に基づきます。

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